「自転車レーン」という言葉を時々耳にしますが、道路交通法では自転車レーンという言葉はありません。
そのため、誤解を招きやすいのが実情です。
自転車レーンと呼ばれるものの種類について解説します。
普通自転車専用通行帯
この道路標識があり、車線で区切ってあるのが普通自転車専用通行帯です。
車道にこの標識がある場合、自転車はこの通行帯を通行する義務があります。
ちょっとややこしいですが、普通自転車以外の自転車もここを通行する義務があります。
なお、あくまでも車道なので逆走はできません。
(車両通行帯)
第二十条
2 車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
自転車ナビライン(矢羽根)
この表示は誤解を生みやすいのですが、道路交通法上に定めがある表示ではなく、自転車が通行すべき場所を分かりやすくしただけのもの。
自転車は車道の左側端を通行する義務があるため、左側端の位置を明示したものです。
自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を明示するものです。
自転車は、矢印の向きに進行してください(逆行はできません。)。
自転車ナビマーク・自転車ナビラインは、道路交通法等に規定されている自転車の通行方法について、自転車運転者及び自動車ドライバーに対し分かりやすく周知し、実効性を高めることを目的として設置しているものです。
新たな交通方法や罰則を定めた道路標示ではありません。
自転車道
自転車道は車道と歩道から縁石や柵によって区間された部分です。
原則として自転車道の道路標識がある道路では、自転車道を通行する義務があります。
車道を通行すると通行区分違反になるため注意が必要です。
両方向に通行できる場合と、一方通行になっている場合があります。
(自転車道の通行区分)
第六十三条の三 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽けん引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。
歩道の普通自転車通行指定部分
歩道の中で白線で自転車レーンのような部分がある場合、「歩道の普通自転車通行指定部分」と言います。
歩道を通行する自転車はこの部分を通行する義務がありますが、歩行者がいるときには一時停止する必要があります。
歩行者はこの部分をできる限り避けて通行する努力義務があります。
なお、このように歩道の中に自転車レーンがある場合でも、自転車が車道を通行することは違反ではありません。
(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
分かりにくい自転車レーン
通行義務 | 根拠条文 | その他 | |
普通自転車専用通行帯 | あり | 20条2項 | 逆走禁止 |
自転車ナビライン | 車道を通行する際の目安 | 18条1項 | 逆走禁止 |
自転車道 | あり | 63条の3 | 車道を通行すると違反 |
歩道の普通自転車通行指定部分 | 歩道を通行する際には通行義務がある | 63条の4第2項 | 両方向に通行可能。車道を通行することも可。 |
ちょっと分かりにくいけど、自転車レーンと呼ばれるものには種類があります。
車道を逆走することは違反ですが、歩道には方向性がないため双方向に通行可能です。