フリーパワーというクランクをご存じでしょうか?
シリコンが入っていて、踏んだ力でシリコンが圧縮されて、圧縮されたシリコンが開放するときにアシストのような力が掛かるという夢のクランクとも言われます。
クランクはこのようなパーツで、先端にペダルが付きます。
メディアで紹介されて以降、かなりの人気が出たという話も聞きます。
筆者はフリーパワー付きの自転車に乗ったことがありますが、効果としては微妙です。
フリーパワーの仕組み
こちらの動画でも紹介されています。
ペダリングは円運動と言われますが、円の接線方向に常に力を加えるのは無理に等しい。
フラットペダルの場合、3時くらいの位置は最もトルクが掛かります。
問題は上死点(0時)と下死点(6時)のトルクが掛かりづらいポイント。
この位置ではトルクが掛かりづらいので、圧縮されたシリコンが開放されてアシスト力になるというのが基本原理のようです。
乗ってみての効果
フリーパワーは、テレビでは坂道もグングン上る・・・となってますが、正直なところ坂は全くメリットがありません。
平坦なところで低速で乗る分には意外といいのですが、速度を上げようとするとペダリングに対してワンテンポ遅れるようなタメがあって、それから進んでいくようなイメージになるので、慣れるまでは違和感があるかもしれません。
試乗した自転車店の店員も言ってました。
平坦な道でちょっとアシストされるイメージだけど、登りの助けになるようなものではないです。
ウリ文句として、電池の要らないアシストギアとなってます。
電動アシストと同じようなもの、もしくは近いようなものを考えると失敗します。
電動アシストとは全く別物で、電動アシストの効果から比較すると相当下がると思ったほうがいい。
強いて電動アシストよりも利点があるとすれば以下の点。
・電動アシスト自転車よりは安い
・電動アシストの場合、バッテリーが寿命を迎えると3万円以上するが、フリーパワーのシリコン交換代のほうが安い
電動アシスト自転車の場合、勾配10%だろうとグイグイ登っていけます。
10%程度の坂なら、鼻歌交じりに登れる。
フリーパワーで同じ効果を期待すると、かなり厳しい。
エネルギー保存の法則
基本原理はペダルを踏みこんだ時にシリコンを圧縮して、トルクが掛かりづらいところでシリコンが開放されてアシスト(風)になるというものです。
エネルギー保存の法則があるので、踏み込んだ力と解放される力は同じなので、アシストというのはちょっと違う。
そもそも、踏み込んでシリコンを圧縮するときにロスが生じてます。
電動アシストの場合は、外部からのモーターによりペダリングをアシストするので、全く原理もパワーも異なります。
フリーパワーがメディアに取り上げられた時期は凄い人気だったように思うのですが、一旦落ち着いてきて、冷静に乗ってみるとそこまで絶賛するほどのものなのか?という疑問があります。
日本の場合、地域によっては坂道だらけなので電動アシスト自転車はもはや必須になっている地域もあります。
その代役としてフリーパワーが活躍できるかというと無理があると思ってまして、平坦なところを低速で乗る人には悪くないですが、坂があるなら電動アシストのほうが明確にいいです。
電動アシストと同じような効果を求めると大きく違うものなので、坂が多い地域では電動アシスト自転車のほうがよりベターと言えるでしょう。