コロナ禍で自転車の利用者が増えていると言われますが、警察庁は毎年、自転車事故の件数や内訳を発表しています。
令和元年の自転車事故
令和元年の自転車事故件数は8万473件となっており、対人事故はそのうち2831件(全体の3.5%)となっています。
ほとんどが何らかの車両との事故で、対自動車の事故件数は6万5929件(約82%)。
自転車と自動車が衝突した場合、自動車のほうが「強い存在】ですし、自転車は人間が剥き出しで乗っているため、自転車に乗っている人のほうが怪我の程度が酷くなる傾向にあります。
事故現場で最も多いのは、交差点や見通しが悪いところなどで起こる、出会い頭の事故。
出会い頭の事故件数は4万3件ですので、約半数は出会い頭で起こっている事故と言えるわけです。
本来、自転車は軽車両。
道路の左端を通行する義務がありますし、一時停止線があれば一時停止の義務もあります。
出会い頭の事故は何らかの法令違反・注意違反がないと起こりません。
警察庁の資料によると、自転車事故で見られた違反はこのようになっています。
違反 | 件数 | 構成率 |
信号無視 | 1461件 | 1.8% |
通行区分違反 | 1267件 | 1.6% |
交差点安全進行違反 | 9416件 | 11.7% |
一時不停止 | 4184件 | 5.2% |
動静不注視 | 10031件 | 12.5% |
安全不確認 | 17109件 | 21.3% |
※代表的な違反のみ抜粋。
「動静不注視」とは、相手車両の存在をあらかじめ認識をしていたものの、いまだそれが事故に結びつく具体的な危険はないものと判断して、相手車両の動静の注視を怠った結果、事故にいたったような場合。
「安全不確認」のほうは、一時停止や徐行をしたものの、十分な安全確認をしなかったため、相手車両を見落としたり、発見が遅れたりした結果、事故にいたったような場合を意味します。
この二つが多いわけですが、十分確認していなかったことや、確認して「行ける」と思ったけど甘かったケースが多いことになります。
これらは道路交通法では70条の「安全運転義務違反」に該当します。
通行区分違反は、主に逆走です。
自転車は道路の左端を通行する義務がありますが、右側通行すれば逆走になり違反。
歩道がなく路側帯しかない道路でも、右側通行すると違反。
ここを勘違いしている人は多いように感じます。
自転車事故件数が80,473件に対し、違反があったのは52,612件(65.4%)。
自転車事故の約3分の2は、自転車側に何らかの違反があったと言えます。
少額違反金制度を導入へ
自転車は免許もなく乗れるもののため、違反の取り締まりも緩く、違反しても罰則が事実上はないに等しくなっています。
指定の違反が3年間の間に2回あると、自転車講習を受講する義務がありますが、警察も積極的に取り締まりしていないため、それほど機能しているわけではないようです。
赤切符を切られるケースもあるのですが、98%以上は不起訴になっている現状からみても、事実上はほぼお咎め無しになってしまい、無法地帯化しているのが自転車の交通違反です。
政府は今後、車の反則金制度に似たような、少額違反金制度を作ることを検討しています。
自転車と言えど、軽車両。 車両であるからには、道路交通法を守る必要があります。 今まで、自転車の交通違反については指定の違反であれば自転車講習制度がありました。 そのほか、法律上は赤切符を交付して起訴することも可能ですが、実態は99%近くが不起訴ですので、事実上取り締まりされていないに近い...
どの程度の取り締まりが行われるかわかりませんが、日常的に見かける信号無視や逆走はもちろん違反。
今後はそのような違反でも、きちんと取り締まりすることとなるでしょう。
ルールを守れば事故も減る
令和元年の自転車事故を見たときに、65%程度が何らかの違反があったとなっています。
つまり、違反がなければ事故を大きく減らせる可能性がある。
生身の人間が剥き出しで乗っている自転車ですので、事故に遭えば死亡してしまうリスクも高く、怪我の程度も大きくなりがち。
自転車も車両であることを忘れずに乗ることが大切です。
誰かを怪我させてしまった時への備えとして、自転車保険にも加入しましょう。
自転車保険、入ってますか? いくつかの都道府県・市町村では、自転車保険の加入が義務化されています。 ただし未加入でも罰則はありません。 義務だから自転車保険に加入したほうがいい!というのはナンセンスです。 自転車保険に加入すべき、たった一つの理由とは!? 自転車保険に加入すべき...