車道を走る自転車、本当に安全な追越し車間距離はどれくらい?

自転車は車道を走ることが原則と言われだして何年も経ちました。
車道を走る上で最も怖いのは、後続車の追越し。
自転車よりもはるかにスピードが速く、重量も重い車が追い越してくるときに、自転車との距離が近過ぎると恐怖。
あまりにも追越し距離が近いと、自転車は接触していなくてもビックリして転倒する恐れもあります。

自転車を追い越す車に求められる車間距離とは一体どれくらいなのでしょうか?

法律の定めが無い、側方車間距離

道路交通法では、前後の車間距離についての規定があるものの、追越しや追い抜きの際の側方車間距離については規定がありません。
前後関係の車間距離についてはこのような規定になっています。


道路交通法では、前後距離についての規定しかない。

(車間距離の保持)
第二十六条 車両等は、同一の進路を進行している他の車両等の直後を進行するときは、その直前の車両等が急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。

具体的に何メートル以上なのかという規定はありません。
警察庁では一定の目安を示しているものの、速度、路面状況、車両の制動距離などを考慮して決まるものだから、絶対的な目安はないものとされています。

同じ時速40キロであっても、雨が降って濡れている路面と、晴れて乾いている路面では制動距離は違います。
車、オートバイ、自転車でもブレーキの能力は違いますので、具体的な数字では表せないのが前後の車間距離。

車が自転車を追い越すときに、その側方距離が近過ぎると自転車は怖いもの。
しかし道路交通法では側法距離についての規定は全くなく、万が一側方距離が近いことで事故にあった場合には、危険運転致死傷罪の適用か、道路交通法の安全運転義務違反に問われる可能性はあります。

(安全運転の義務)
第七十条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

曖昧な規定になっているため、事故が起こらない限り安全運転義務違反に問われる可能性は限りなく低いのが現状です。

追越しの規定ではこのようなルールもあります。

(追越しの方法)
第二十八条
4 前三項の場合においては、追越しをしようとする車両(次条において「後車」という。)は、反対の方向又は後方からの交通及び前車又は路面電車の前方の交通にも十分に注意し、かつ、前車又は路面電車の速度及び進路並びに道路の状況に応じて、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。

出来る限り安全な速度と方法とあります。
28条の4には罰則が無いため、努力義務のようなものとなっているのが現状です。

追越し時の側方車間距離については、出来る限り安全な速度と方法を求めているため、徐行するか側方車間距離を開けるか、もしくはその両方が求められていると言えます。

愛媛県では、自転車を追い抜く車に対して、「思いやり1.5m運動」を行っています。

https://www.pref.ehime.jp/h15300/1-5m/1-5m.html

これは愛媛県の条例に基づく運動ですが、罰則があるわけではないため努力目標になっているのが実情です。

免許の教習所では、おおよそ1~1.5m程度の距離を取って追越ししましょうと指導されていますが、これらは努力目標のようなもので、法律で決まっているものではありません。
しかし自転車側の安全という面では、時速30キロ以上の速度が出ている状態であれば1.5m以上の側方距離を取って追越しして欲しいと思うのが本音ではないでしょうか?

自転車側にも求められるルールと自己防衛

自転車は車道の左側を通行するのがルール

 

自転車には免許制がありませんので、誰でも自由に乗れてしまうのが現状です。
その結果、車道を逆走するような危険な走行をしている自転車もあとを絶たない。

ルールを守っていない自転車に対して、車には努力目標を守ろうと声掛けしても、車のドライバーには心に響くものが少ないのではないでしょうか。
まず自転車はきちんとルールを守って、左側通行や信号の遵守をしっかりすることが大前提になります。

残念なことに、信号無視する自転車も多い。

 

車道を走っている以上、凶器になるのは車、特に大型車。
全てのドライバーがきちんと車間距離を開けて追越ししてくれるわけではありませんので、自転車側にも自己防衛は必要になってきます。

まず、交通量が多い道路や、車道が狭い道路については迂回するという選択肢を。
どうしてもその道路を通行しないといけない場合もあるでしょうけど、追越し時の事故に巻き込まれてからでは残念ながら遅い。
この道路は危ないなと思った場合には、迂回して安全な道路を通行するか、歩道があれば歩道を徐行することも出来ます。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

自転車は原則として車道ですが、13歳未満と70歳以上、車道を通行するのが危険な場合には歩道を通行することが出来ます。
ただし、徐行と歩行者優先。
間違っても歩行者相手にベルを鳴らしてはいけません。

車道を走る場合には、自転車の存在をアピールするために、リアライトを日中でも点けておくと効果的です。
最近、ロードバイクに乗る人の間では、デイタイムライトといって日中でもリアライトを点灯させる人が増えています。


自転車がいることをアピールするために、点滅モードを使う人が多いようです。
これにより後続車に対して自転車の存在をアピールすることが出来ますので、普段よりも側方距離を開けて追越ししてくれる可能性が出てきます。

ロードバイクに乗る人の中には、夜間はもちろんのこと、日中でもリアライトを二個以上点けている方もいます。
少しでも自転車の存在をアピールしたいということなのでしょう。

ママチャリでも、このようなリアライトを後付けで設置することは可能です。
日本で自転車は左側通行ですので、出来れば真後ろか車体の右側にリアライトを設置する。
これは反射板ですが、シートステイと呼ばれるフレームの右側に設置してあります。

サドルから後輪に向かっている部分をシートステイと呼ぶ。

 

近年は自転車事故が増えていますので、常時リアライトを点けて少しでも後続車に対してアピールすることが大切です。

自転車乗りでも、ミラーを付けることでいち早く後続車の様子を確認できるようにしている人もいます。


ミラーはロードバイクやクロスバイク用のものもあれば、ママチャリでも使いやすいタイプなど様々。
車のミラーに比べると鏡面も小さいため、後方の様子がバッチリ見えるというものではありませんが、後続車の状況をいち早く確認することで、一時的に歩道側に退避するなど事故を防げる可能性があります。

車がきちんと車間距離を取って追い越ししてくれれば安全ですが、必ずしもそうはなっていません。
自己防衛も大切になりますので、交通量が多い道路を避けることであったり、リアライトやミラーを最大限活用して安全性を高める努力が必要です。

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